アンナプルナ内院トレッキング2008

  2008年3月6日〜19日.中部国際空港発着.
  ◇ 安曇野.ペンション.ラリ−グラス主催
この山旅の紀行文と写真は、北海道から参加の 尾身東美さんに まとめて頂きました。
有難うございました。



モディコーラ源流部のアンナプルナ内院は世界中のトレッカーの憧れの地だ。今回、安曇野のペンション「ラリーグラス」の主催で、写真の11名はこの地を訪れることになった。

      リ−ダ−: 福沢すみ子
      記録係 : 尾身 東美

ポカラの「ホテル.メーラ」出発時の写真 ⇒

写真は、左から(敬称略)
上段;後藤、小林美恵子、飯嶋、福沢、中山、小林富美子
中段;飯嶋(中央)
下段;尾身、高橋、務台、高野





3月8日(土)カトマンズ 晴れ/ポカラ 曇り

10:00 カトマンズ国内線空港発→10:40 ポカラ=11:00→11:20H.メーラ着=荷物整理・昼食=12:10発→13:20 Naya Pulバス停前(標高1070m)着=13:30→14:10 Birethanti国立公園入域事務所(1025m)=14:20→15:15 Shaule(Syauli) Bazal(1190m)=15:35→15:50 River Site Guest House(1173m)着=宿泊  Guest Houseは以下GHと省略

山旅はNayaPulから始まる。以後、すべて徒歩。自分の足と仲間とのチームワークが頼り。

バナナが実る Birethanti付近
NayaPulのバス停から北側に折れ、賑やかな商店街を降って、橋を渡る。次の橋を渡ったところ、Birethantiに国立公園入域事務所がある。ここで入域(入山)申請をする。

プーンヒルのあるゴラパニは左に、アンナプルナ内院は右に進み、今日の宿泊地Shaule Bazalに向かう。
途中「前方谷の奥にMachhapuchhareが見える」と案内書にあったが、あいにくの曇り空、高い山は見えない。
半袖でも暑い。一寸、意外な感じがするが、付近はバナナが実る、正に南国。亜熱帯。
3月9日(日) 晴れ〜曇り

06:05 Shaule Bazar(1190m)River Site.GH発→08:00 Kimche(1638m)=08:15→09:50 Ghandrung(1940m)=昼食=12:00→14:10 Kumron(2250m)着=Annapurna ViewGH宿泊



段々畑と石段の道 Kimche付近
今日も暑い。晴れてはいるがMachhapuchhareやAnnapurna Southなど高い山は雲に遮られていて見えない。Kimche〜Ghandrung間は、登っては降る、きつい石段の道。山旅は始まったばかりだと言うのに、石段を見上げては、そっとため息。周りの段々畑の景色に助けられて、ただ、前進あるのみ。
Ghandrungでの昼食後は、石段を登り降りするだけ。会話も途切れがちになった頃、Kyumlung Danda(Kumron)のAnnapurna ViewGHに着く。
庭先の崖ふちに幹がふた抱えもありそうなラリーグラスの大木があり、真紅の花は今が盛り。
夜中、2時頃、満点の星。前方の谷間に高い山のシルエットが認められる。多分、Machhapuchhareと思われる。
南の微風。「明日は晴れるぞ!」と、思いながら再びシュラフにもぐり込む。

Ghandrungのロッジ手前
3月10日(月) 晴れ
06:10 Kumron(2250m)発→07:25 Kyumlung Khola谷底の橋(1800m)→07:30 River Site GH(1810m)=08:00→11:00 Chomrong(2170m)International GH=昼食=13:00→(1860mの吊橋まで降り、登り返す石段の道)→14:50 Sinuwa(2360m)着=Sherpa GH宿泊


ラリ−グラスの背景に遠く長い道

Machhapuchhareが見えて歓声
Kyumlung Danda(2250m)からChomrongはKyumlung Kholaの谷底まで約450m降り、370m登る、遠くハードな道。途中、真紅のラリーグラスの花が疲れを癒してくれる。ChomrongはAnnapurna.S、Hiun Chuli、Machhapuchhareのビューポイント。ここに来て展望が開ける。InternationalGHからの眺めは素晴らしい
Annapurna South とHiun Chuli

夜、Sinuwaの人達が、ラリーグラスのレイを持って集まる。踊りを披露。道路維持の募金に応じてくれたお礼との事。村中の人が全員集まったと言うが30名ほど。
昼、Chomrongからの学校帰り、私達の前をスキップを踏んで駆け下りて行った子供達もいる。夜10時まで付き合う。
その後も村人達の歌と踊りは続く。

“レッサム.フィリリ−♪”に
始まり、シヌワの夜は更けていく


村人と一緒にシェルパも踊る。
まるちゃん いいぞ〜。


 ラリーグラスの“レイ”を首に(左)ネパールの、カルチャーダンスを楽しむ素朴な村人達の踊りは夜遅くまで続いた

3月11日(火) 晴れ、14時頃から雨〜ヒョウ
07:00 Sinuwa(2360m)発→09:40 Kurdi Ghar(2540m)=10:00→10:30 Bamboo(2340m)=10:50→14:20 Dobang(2510m)着=Annapurna Approach Loge宿泊

Sinuwaを発つと、Modi Kholaの谷越しに終始Machhapuchhareが見える。
細くて背の高い竹の林を通り、Bambooの集落に入る。このコースは
Modi Kholaを右眼下に、深い谷底の轟きを聞きながら進む。
午後から曇り。ロッジに着いた後、15時頃から本格的な雨。時々大粒のヒョウが降る。明日が思いやられる。
真夜中は満点の星。北斗七星が谷の左側上空に懸かる。柄杓の先の北極星は山の端に隠れていて見えない。


まさに「魚の尾ひれ」Machhapuchhare(6993m)

3月12日(水) 晴れ、15時頃から雨〜ヒョウ
07:00 Dobang(2510m)発→08:55 Himalaya Hotel(2830m)=09:10→10:45 Hinko(3170m)=11:00→11:30 Deurali(3230m)着=Panorama GH宿泊

Hinkoは洞窟の意味。登りきった岩山の下に大きな空間がある。その先の岩壁には、落差100mは越えると思われる滝が2本懸かる。ここまで来ると前方にDeuraliのロッジが間近に見える。しかし、そう簡単にはいかない。何時ものことながら、いちど谷を降って登り返す。鳥になりたい気分。
Deuraliには午前中に着いたが、高度順応と休養をとる為、今日はここで泊まる。
15時頃から20時頃まで、断続的にヒョウが降る。この時期、天候はこのパターンをとるのか?夕方になると雨が降る。
日本の夏のアルプスを思わせる。

岩壁の下が洞窟状になっている

3月13日(木) 午前 晴れ、午後 曇り〜雪
06:20 Deurali(3230m)発→10:10 Machhapuchhare Bace Camp(3703m)、以下、MBCと省略)=休憩=11:00→12:20 Annapurna Bace Camp途中(4050m、ABCと省略)=12:30→13:05 MBC着=GurungGH宿泊
Glacier Dome (7069m) am6:53
Gandharva Chuli (6248m) am10:33
6時20分Deuraliを出発する。ほどなく、道はModi Kholaの谷底まで降り、右岸から左岸に渡る。そして、大きく迂回して右岸に戻る。これがまたなかなかのアルバイト。地図には右岸の道が記載されている。
MBCには10時過ぎに着く。午後の天候悪化を予想して、急いで軽食を取り、11時、ABCを目指す。

at,Machhapuchhare BC
途中、見晴らしの良いところで記念撮影、福沢、高橋、後藤、小林、高野組は、ヒラ君がついて一足先に下山。飯嶋夫妻、小林美恵子、中山、尾身は、マルちゃんの案内で更に上部へ向かう。
Annapurna南壁方向は雲に遮られていて見えない。AnnapurnaSouth方向も雲が湧いてきたので、昔のABC、4000m付近から引き返す。ちなみにABCのロッジはもう少し先の丘の上に見える。
MBCに戻って遅い昼食をとる。食堂の窓から北側の小高いモレーンの上に赤いヤッケの二人連れが長いこと前方を見ている「あんな所で何しているの〜?」多分、氷河跡が見えるのだろう。行って見たいね〜。
14時からヒョウが降り始める。各自、部屋に、こもっている。
15時頃には本格的な雪となる。寒いので、一部屋に全員集合。よもやま話が始まり、ロッジでの出来事など、話題はつきない。やはり、寒い。食堂へ場所を変え、先客の外人さんに混じって、ネパール式のコタツに入る。足元が暖かい。
夕食後も降雪は続く。何時ものように、明日は晴れてくれるか?期待と不安のうちに、湯たんぽの暖かさに助けられて、眠りにつく。高山病の兆候は無かったが、疲れているのか、いろいろな夢を見る。

     標高は4000mを越えた。すっかり姿を変えた
     
Machhapuchhareを背景に 記念撮影 ⇒

3月14日(金)早朝小雪〜曇り、16時頃から雨

06:25 MBC(3703m)発→08:35 Deurali(3230m)=08:55→9:20 Hinko(3170m=09:30→10:05 Himalaya Hotel(2830m)=10:15→11:40 Dobang(2510m)=昼食=12:30→13:15 Bamboo(2340m)=13:45→15:45 Sinuwa(2360m)着=Sherpa GH宿泊

朝、MBC周辺は15〜20cmの積雪。上部は曇っていて見通しが利かない。朝焼けのAnnapurna南壁撮影はあきらめ、急いで下山。Deuraliへの迂回路、山中でトラの足跡を見る(大人のこぶし大)。いるのですね〜 本当に!
DeuraliからMBCへの途中、Bagar付近を迂回するよう指示した標識がある。Deuraliから少し登ったところで、Madi Khola本流を左岸に渡り、大きく迂回して、上部で再び右岸に戻る。今回、指示に従わないで、右岸を通行中の数人が、雪崩の直撃を受けているのを対岸から目撃する。3日がかりで登ったところを1日で降る。Sinuwaのロッジについた直後、雨となる。
ついている。ラッキー!


昨夜の雪が15〜20cm積もっている am6:21


日の出の写真撮影中止。急遽下山 am7:14

3月15日(土) 晴れ、14時頃から雨、14時20分から豪雨(夕立)  

06:00 Sinuwa(2360m)発→谷を降り、標高1860m地点の橋から急登→09:00 Chomrong(2170m、標高差310m、大変な急登)=09:30→11:30 Jhinu(1740m)=昼食=12:10→12:25谷底の橋(1600m、Chomrongからの標高差−570m)→13:10 New Bridge=13:20→(左岸へは向かわず、右岸の道を降る。)→14:40 Kyumi着=Bright GH宿泊

Chomrongを過ぎた所で、復路は道を変え、Modi Khola沿いのルートに向かう。ここの降りは、勾配が特にきつい。道の途中に段差2m以上の垂直な石垣が出てくる。(段々畑の土留)。初めて遭遇した時は、その先は何処にあるのかと、周囲を見渡す。道が途切れたところで、下を見ると、板状の鉄平石が石垣に組み込まれ、突き出ている。これを利用して階段のように登り降りする。前向きで降りると、谷底まで転がり落ちそう。ここは後ろ向きがベスト。
そうこうしている内にJhinu Danda直前の橋に到着する。後は多少の登り降りと平坦な道を行くだけ。
JhinuDandaを過ぎ、New Bridgeで橋を渡らずModi Kholaの右岸を直進する。Kyumi Kholaの辺りで夕立に遭遇。雨足が強くなり、止む気配が無い。Shaule Bazarまでの予定を変更。2件目の宿に飛び込む。これが大正解。今までで、一番きれいな宿に当る。Bright GHの床はビニールシート張り。靴を履かなくて良いと思われるほど。部屋の内壁はコンクリートモルタル。無論、外壁は石組み。

Jhinuの村 近くに温泉が湧く

KyumiのBright GHの厨房

キュミ村のロッジ&レストラン

Machhapuchare
これまでの宿は、屋根はトタン張り。部屋の内壁と天井はベニヤ板。雨やアラレが降るとうるさく、隣の部屋ばかりでなく、離れた部屋の音も聞こえてくる。天井と屋根の構造が面白い。天井は編竹。昼や夜間、天井裏は見えないが薄明時、光が差し込み、天井裏が見える。
屋根は鉄平石の石版で葺いてある。「隙間があるのでは?雨が吹き込まないのか?」と心配になる。
夜半2時、北斗七星が右岸上空に、その先に北極星が認められる。また、右岸上部にはGhandrungの、左岸上部にはLandrungの明かりが見える。星とオレンジ色の灯し火。
「帰ってきたと〜」と安堵する。朝5時、北斗七星の一部は山の端に隠れて見えなくなるが、北極星は北を指して青白く輝いている。
ここまで来ると、水は冷たさを感じない。皆が起きないうちに、水場で体を洗う。


3月16日(日) 快晴
07:00 Kyumi発→07:57吊橋→09:15 Shaule Bazar(1190m)=休憩=09:50→途中マチャプチャレが見える→10:55 Birethanti(1020m)国立公園入域事務所=手続き=11:15→11:45 Nayapul(1070m)着=11:55→(専用車)→13:13 ポカラ、H.メーラ着

今日一日、往路では見えなかったAnnapurna South、Hiun Chuli,、Machhapuchhareを、振り返り、振り返り、見ることが出来た。ABCもMBCも天候が良いのだ。上にいる人達がうらやましい。


 先日と同じ山々アンナプルナ南峰
マチャプチャレ
また来ることが出来るか??  また来たいね〜!!!

国立公園入域事務所での手続きは、往路でもそうだったが、ヒラ君が途中から先行して進めてくれている。時間のロスがない。ありがとう。ダンニャバード。

水牛の世話をする少年

鉄平石の石版で葺いた屋根

SyauliBazzrは近い

ナヤプールに到着
Biretantiの橋を渡って、少し行くと、牛や馬が闊歩する街道を自動車が動いている。こんな所で!車〜!!それは無いだろう!Nayapulから、我々トレッカーが通る道とは別の道があるとのこと。そう言えば、Shaule Bazalの道端にブルドーザーがあったっけ。
Nayapulの橋を渡り、混雑した商店街を抜け、意気揚々とバス停に到着。
専用車でポカラへ。長い山旅も無事終了。

学校に通うSinuwaの子供

昼食..Nepalの定食ダルバート

バンブーからシヌワへの石段道

チョムロンのオープン.カフェ

   ヒマラヤの「ラリ−グラス」の花
    赤い石楠花は.Nepalの国花


       お疲れ様 
       皆様、ご苦労様でした。ありがとう! ダンニャバード ナマステ!! (完) 
                                           文責 尾身東美


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