タルブチュリ(テントピーク)登山
  Nepal Himalaya TharpuChuli(5663m)2010
  メンバ-. 隊長:福沢勝幸、上村登捷、津留宏信、中島佳範


左シングチュリ、右タブルチュリ

スノープラトーウから山頂を望む
山頂への雪稜
アタック日は好天に恵まれた。上部雪壁を越え、最初のピークから三つ目が真の山頂だった。
                       *登山写真はこちら

ポカラを発って11日目、ようやく最終キャンプに入る。この間、ABCで2日間高所順応、更にACまで、ゆっくりと高度を上げ、標高5200mのアタックキャンプを設営したのは11月15日だった。

タルブチュリ山頂へ(11月16日、快晴)

真夜中の午前2時過ぎ,、アタックキャンを出発する。登攀具を身に着け、テントの外に飛び出す。風もなく穏やかだが、厳しい寒さだ。頭上には、きれいな星空が広がっていた。
暗闇の中、ガレ場からラクシピークの側面岩壁を登る。ライトの明かりだけでは、何処を登っているのか皆目判らない。幾つか大きな岩を越えた。やがて雪面に出る。
緩やかな斜面をしばらく登ると平坦な雪の台地にでた。ここからは右にルートを取る。前方にライトを向けると、山頂を形成する黒い岩のトライアングルが薄っすらと見える。
ここから左上し、更に直登、傾斜は徐々に増してくる。やがて雪壁を左右に分断するクレパス帯に出る。既に前日シェルパがセットしたFix Ropeがクレパスの最も狭い個所に固定されていた。
ここから200mの雪壁の登りが始まる。20mほと登り、クレパスを越す。雪崩のデブリ跡を越え、雪壁の中心部に入っていく。暗いので高度感もなにも感じない。傾斜は徐々に増してくるが、ゆっくりと呼吸を整えユマールで攀じる。
傾斜は40〜50度ほどであろうか、部分的に50度強の個所もある。
稜線に近づくにつれ、夜が次第に明け始める。周辺の山々が徐々に明るくなり始めた。
雪壁を登りきると、そこは平坦な雪のプラトーだった。
感動的な朝を迎えた。
アンナプルナ南壁が、山頂から下部へ、少しずつ茜色に染まりはじめる。
今まで見えなかった、西、東アンナプルナ氷河の向こうには、グレッシャ-ドーム、ガンガプルナ、更に、アンナプルナV峰、マチャプチャレなど、素晴らしいヒマラヤの景観が広がっていた。
やがて、朝の陽がこの雪の台地にもおりてくる。目指すタブルチュリは、もう目の前、手の届くところに見える。
ここで休憩をとった。
暖かく甘い紅茶が冷えた身体に心地よい。
ここからはルートが2つに分かれる。眼前の雪壁を直登するもの、左にトラバースして雪壁から山頂雪稜に登るコース。前者は山頂までが長く、幾つかのピークを越えて行くことになる。
我々は後者のルートを登る。
プラトーからワンピッチ登り、ダブルチュリの裾を巻くようにトラバース、30分ほどで雪壁下にでた。ここから頭上に見える雪のピークを目指す。
ここで、一番調子のよい上村とトップを交代する。

ここから上部は登攀中の写真を撮ることに決めていた。
雪壁の途中で、ユマールで身体を確保、アイゼンを蹴りこみ、微妙なバランスで山頂に向かう仲間をカメラで追う。
幾度もたちどまり10枚ほどの写真を撮った。
仲間にも写真を撮れと、叫ぶが、皆、山頂を目指すのに精一杯。そんな余裕がなさそうだ。

40度ほどの雪壁を登り、小さなピークに立つと、緩やかな雪稜が山頂に続いていた。
あと少しと思いながら山頂を目指す。ところがピークに近づくと、右奥に更にもうひとつのピークが現れる。どうやら真の山頂はこの先らしい。
ここまでくればもう頂上は近い。Chhiringがポケットからプルーンを出し口に入れてくれる。Take Restと、言い、更に暖かいマンゴジュースを注いでくれた。
風もなく天気も快晴、周辺の展望も申し分ない。ここから先は緩やかな雪稜漫歩を楽しみ、9時50分山頂に立つ。

上部プラトーからここまでは260mの固定ロープをセットした。(全ルートでは460mのロープをセット)
   



11月5日
6日
7日
8日
9日
10日
11日
12日
13日
14日
15日
16日
17日
18日
19日
20日
行動日程

 (快晴)      ポカラ 7:45(専用バス)ナヤプール9:15、10:20発ーガンドルン18:05
 (快晴)      ガンドルン 7:55ークムロン9:45ーチョムロン15:15
 (快晴)      チョムロン 7:55ードバン16:20
 (快晴)      ドバン 7:40ーMBC15:40
 (快晴)      MBC 8:05−ABC11:25
 (快晴)      ABC 高所順応日(4500mABC裏のルンタピークから更に上部往復)
 (快晴)      ABC 高所順応日(4400m往復)
 (曇りのち晴)   ABC 9:15−南アンナ氷河左岸の上部台地.仮.BC4200m12:30
 (快晴)      仮.BC 9:30−BC 4600m11:30
 (快晴)       BC 4600m −4800mーBC(高所順応4800m往復)
 (快晴)      BC 4600m 9:55−AC5200m15:10
 (快晴のち晴)  A.C 2:15−山頂 9:50−AC12:05ーBC15:00−仮.BC16:20
 (晴れ)      仮BC 9:15−MBC12:10   
 (曇りのち雨)   MBC 7:50−ドバン11:50雨宿り休憩ーシヌワ16:20
 (快晴のち曇)  シヌワ7:35ーチョムロン10:45ージヌー14:00
 (快晴のち晴)  ジヌー 7:30ーキュム10:00ーナヤプール16:20(専用バス)ポカラ18:20


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